ver.1.0 2007-02-10
カバーイラスト: はるなやよい (「うたかたの記」の巨瀬とマリイ)
表紙の円やタイトル名などの黒い部分は本当は金箔状に光っています。スキャンすると黒くなってしまいます。
コミックス・シリーズ名 : 一友社名作劇場
商品名 : 舞姫 うたかたの記 文づかい
原作 : 森鴎外
巻数 : (一友社名作劇場の)第3巻
出版社 : 株式会社一友社
初版発行日 : 2007年2月17日
価格 : 1280円+税
・WEB立ち読み 一友社 「舞姫 うたかたの記 文づかい」
原作は森鴎外の純文学です。森鴎外の3つの小説を3人の女流漫画家が漫画化しています。森鴎外なので原作の小説を読んだことがある方が多いと思いますが、ネタバレを避けるためストーリーの感想についてはmore以降に書きます。
絵については3人ともかっちりとした絵でとてもうまいです。コマ割りや構図やデッサンで読みづらいと思ったり、技術的にまだまだ未熟だと感じるような部分はまったくありませんでした。大抵の漫画にはビニールでカバーがされていて中身が読めないので私は表紙で買いました。ストーリーは暗いのでとてもお勧めできかねますが、絵が好みならば、絵が目当てで買っても満足できるんじゃないでしょうか。
◆あらすじ (裏表紙)
「舞姫」 双葉はづき
若きエリート太田豊太郎はベルリンへ留学するが、
同輩の讒訴によって地位を失う。
異国で一人きりになった彼に救いの手を差し伸べた
のは、雪の日に助けた舞姫エリスだった。
「うたかたの記」 はるなやよい
留学生巨瀬は、かつて助けた可憐な
すみれ売りの少女を忘れられずにいた。
ミュンヘンで出会ったモデルの美少女
マリイは、自分がそのすみれ売りだと言う。
マリイには狂気の国王との暗い因縁が
あった。
「文づかい」 斎まや
少年仕官小林は、ムルデ湖畔の城で
美しいイイダ姫を知る。
姫に淡い想いを抱く小林だが、
小林の友人メエルハイムもまた、
姫に求婚していた。
more以降にはストーリーのネタバレそのものの感想があります。
私は海外の古典文学はたくさん読んだことがありますが、日本の純文学はほとんど読んだことがありません。森鴎外の小説はどれも読んだことはありませんので漫画を読んだ感想になります。
舞姫
漫画: 双葉はづき
主人公の太田豊太郎は見ず知らずの困っている少女を助ける親切な青年なのですが、明治の男尊女卑の時代のせいでしょうか、自分の出世のために妊娠させてしまった恋人に一方的に別れを言って日本へ帰ってしまうんですよ。最後には明るくて性格の良い娘エリスはショックで無口になって気がふれたようになってしまいます。現代の目で見れば太田豊太郎は男の屑ですね。非常に不愉快な話でした。
うたかたの記
漫画: はるなやよい
最後には予定調和のようにマリィは死んでしまうのですが、お互いにもう一度会いたいと思っていた二人が会うことが出来たのでそれほど嫌な気分にはなりませんでした。
3人の漫画家の中では一番絵が好みでした。カバーイラストを描いた人です。
文づかい
漫画: 斎まや
裏表紙のあらすじはさっき初めてしっかりと読んだのですが、私は小林はイイダ姫に淡い想いを抱いているようには思いませんでした。いつも笑っている金髪の4人の美人姉妹と違い、イイダ姫は黒髪で決して笑ったりせずちょっと変わった娘なので気になったというように感じました。小林はむしろ城の人間関係の観察者に見えます。このお話はイイダ姫を慕っている元浮浪児の羊飼いの少年とイイダ姫とのお話に見えます。イイダ姫がメエルハイムとの婚約を断るために城を出てザクセン王宮の女官になったあと、羊飼いの少年が自殺したような終わり方をします。こういう結末になるしかないのでしょうけどあまり気分の良い終わり方ではありませんでした。
0 件のコメント:
コメントを投稿