2009-02-02

SF小説: 笹本祐一, ミニスカ宇宙海賊(パイレーツ)

ver.1.0 2009-02-02



題名: ミニスカ宇宙海賊(パイレーツ)
著者: 笹本祐一
表紙/本文イラスト: 松本規之
ジャンル: スペースオペラ
出版社: 朝日新聞出版
番号: ISBN978-4-03-540440-8
初版発行年月日: 2008年10月30日
価格: 1000円+税
サイズ: 横の長さは文庫本より若干大きめで、縦の長さは文庫本より長く漫画本より若干短い

裏表紙あらすじ
宇宙ヨット部の部活や、レトロ喫茶店でのアルバイトに忙しい元
気印の女子高生・茉莉香(まりか)は、突然、死んだ父親の部下だと名乗る二
人の男女から、宇宙海賊弁天丸の船長就任の要請を受ける、一世
紀前、独立戦争のどさくさの中で発行された私掠船免状によれば、
船長の死んだ海賊船の存続は、直系の継嗣による世襲が絶対の条件
らしいのだが━━。新シリーズの痛快スペースオペラ、華麗に登場!

あのARIEL(エリアル)の笹本祐一の新作と言えばわかりやすいでしょうか。
小説の題名が笹本祐一らしくない(妖精作戦、エリアル、星のダンス~)ですが、原稿を編集部に渡したときに「ミニスカパイレーツ(仮)」と書いて出来上がった分を渡し、結局もっと印象的な題名を思いつかなかったからだとか。




ネタバレというほどでもない内容を含む感想
ラノベ(ライト・ノベル)のように売れたら続刊が執筆されるという仕組みなのでしょうけど、この巻では茉莉香(まりか)が宇宙海賊になった時の描写は「オープニング」にちょっとあるくらいでとても少ないです。宇宙海賊が悪人ではないところがちょっと松本零士の漫画キャプテン・ハーロックっぽいと思いました。
小説の柱となる設定は私掠船免状を持っている銀河帝国の公認の宇宙海賊であることです。宇宙海賊は希少な存在となってしまった時代で、宇宙海賊は一種のエンターテインメントでサービス業なのです。ARIEL(エリアル)の地球を侵略しに来た異星人の侵略企業を思わせる設定です。
「第一章」からは主に宇宙海賊船・弁天丸の主任操縦士のケイン・マクドゥガルの視点の一人称で物語が語られます。ケインの役割は茉莉香(まりか)が宇宙船の船長に向いているかどうかの適正の観察とボディガードです。ケインは普通ならば男性読者に嫌われる傾向にある優男ですが、女子高生らには興味がない模様で有能で真面目な性格なので嫌味はなく好感が持てます。男性読者ならばケインに感情移入して茉莉香(まりか)に接するような気分になるでしょう。茉莉香(まりか)は多少抜けていますが頭が非常に良く宇宙ヨットの操縦の腕も抜群で、優しく思いやりのある性格で可愛いです。

この小説のジャンルはスペースオペラです。スペースオペラですがどちらかと言うとSF寄りで、しかしハードSFのように難解ではないので読みやすいでしょう。面白くて一気に読み終えてしまいました。声を出して笑うという感じではなくてワクワクする感じです。物語は中盤から意外な方向へ進んで行きます。女の子が主人公ですが萌えとかエッチな描写はありません。宇宙を宇宙船で航海するSFっぽいストーリーが好きな人にお勧めします。

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